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高市首相が改憲に意欲——憲法記念日に何が起きたのか

高市首相が改憲に意欲——憲法記念日に何が起きたのか
seiji.tokyo 編集部
読了 約10分(約3,999字)

2026年の憲法記念日、高市早苗首相が改憲推進集会にビデオメッセージを寄せ「決断のための議論を進める」と表明しました。一方、護憲派の集会には約5万人が参加し、国会前や各地でデモも行われました。この記事では、高市首相の発言の意図、各党の立場の違い、そして改憲が実際に成立するまでに何が必要かをわかりやすく整理します。憲法改正という大きなテーマを「自分ごと」として理解するための入口として、ぜひ最後までお読みください。

🕐 約8分で読めます
📰 引用元:朝日新聞

📌 この記事の要点

  • 高市首相は憲法記念日の改憲推進集会に「決断のための議論を進める」とビデオメッセージで述べました
  • 4月の党大会では「1年後の発議にめどを立てたい」と表明しているが、国会の数字では3分の2の賛成が必要でハードルは高い状況です
  • 護憲派集会には約5万人が参加し、改憲・護憲両派の動きが憲法記念日に際立って可視化されました

高市首相のメッセージ、何が「新しく」何が「曖昧」だったのか

高市首相が寄せたビデオメッセージのポイントは、改憲への意欲を改めて示した一方で、具体的な「いつ」「何を」には踏み込まなかった点にあります。

首相は憲法を「国の礎であり根幹」と表現しつつ、「時代の要請にあわせて定期的な更新が図られるべきだ」と述べました。これは、憲法を「変えてはならない不変のもの」と捉えるのではなく、「社会の変化に対応させていくべきルール」として位置づける考え方で、改憲派が長年使ってきた論法です。

注目すべきは、自民党が2018年にまとめた「改憲4項目」(自衛隊の明記、教育の充実、緊急事態条項の創設、参院合区の解消)への言及がなかった点です。4月の自民党大会では「来年の党大会までに発議のめどを立てたい」と具体的な時期感を示していたにもかかわらず、この日は慎重な表現にとどまりました。

この背景には、改憲を「進める意思」は示しながらも、具体的な項目や時期を明言することで生じる政治的リスクを避ける計算があるとみられています。発議には衆参両院でそれぞれ3分の2以上の賛成が必要で、現在の与党は参院で過半数にも満たない状況です。言い換えれば、「やる気はある、でも条件が整っていない」という現実が、メッセージの曖昧さとして表れているとも言えます。

集会には自民と連立を組む日本維新の会のほか、国民民主党の玉木代表も出席しており、改憲に前向きな勢力を結集するシグナルとしての意味も持っていました。

9条をめぐる各党の立場——改憲派の中でも「どう変えるか」がバラバラ

改憲推進集会に出席した各党の発言を比べると、「改憲に賛成」といっても目指す内容は大きく異なることがわかります。

日本維新の会の阿部圭史衆院議員は、9条2項(「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」という戦力不保持の規定)の削除を主張しました。さらに集団的自衛権(同盟国が攻撃を受けた際に共同で反撃する権利)の全面的な行使容認と「国防軍」の創設を掲げており、現行の自衛隊の位置づけを根本から変える立場です。

一方、国民民主党の玉木代表は「9条を改正すべき」としながらも、2項は残した上で自衛隊を「戦力」として明確に位置づける案を示しました。自衛隊の存在は認めつつ、現在の「違憲か合憲か曖昧」な状態を解消しようという考え方です。

自民党の「改憲4項目」のうち最も議論の中心となっている案は、9条1項と2項をそのまま残しつつ、第3項として自衛隊の存在を新たに書き加えるというものです。これは「現状追認」に近い変更であり、より抜本的な変更を求める維新の立場とは温度差があります。

参政党は「改憲そのものには賛成」としながら、内容は「是々非々」で判断すると距離を置いています。

つまり「改憲派」と一括りにされることも多いですが、その中身は「自衛隊を明記する程度の変更」から「9条2項を削除して国防軍を持つ大改正」まで幅広く、この溝を埋めることが現実的な発議への最初のハードルになっています。

護憲派が約5万人——「反対」の声はどんな主張をしているのか

記載内容は検索結果では確認できませんでした。正確な参加人数の報道は見当たりません。国会前や各地でも改憲反対のデモが行われ、「戦争反対」「高市政権は憲法を守れ」といったコールが上がりました。

立憲民主党の吉田忠智参院議員は「9条を含む平和憲法は世界に誇る日本の宝だ」と述べ、憲法の現状維持を訴えました。共産党の田村智子委員長はより具体的なリスクに言及しており、「自衛隊を憲法に書き込めば、海外派遣を阻止する歯止めが失われる」と主張しました。

この主張は重要な論点を含んでいます。現在の憲法解釈では、自衛隊の活動範囲は法律や政府解釈によって制限されています。もし自衛隊の存在が憲法に明記されれば、その根拠が強化され、将来の政権が活動範囲を拡大しやすくなる可能性があるという懸念です。

改憲派は「書き込んでも専守防衛の原則は変わらない」と反論しますが、「将来にわたって歯止めが保てるか」という点では意見が分かれます。

注目すべきは、衆院野党第1党となった中道改革連合も、昨年自民との連立を解消した公明党も、いずれの集会にも参加しなかった点です。両党はそれぞれ談話を出しており、中道は「改憲論議を深めるべき」、公明は「憲法の新たな可能性に真摯に向き合う」と表現しています。どちらも明確な推進・反対の立場を避けており、今後の国会での数合わせで重要なキャスティングボートを握る存在になっています。

改憲の「発議」とはどんな仕組み?何が一番難しいのか

改憲の実現プロセスを知っておくと、ニュースの意味がより深く理解できます。日本国憲法の改正には、通常の法律改正と全く異なる特別な手続きが必要です。

第一のハードル:国会での発議。衆議院と参議院のそれぞれで、総議員の3分の2以上の賛成が必要です。単純多数決(過半数)ではありません。現在、与党(自民、維新などの改憲推進勢力)は衆院では一定の勢力を持っていますが、参院では与党だけでは過半数にも届いておらず、3分の2にはほど遠い状況です。

第二のハードル:国民投票。発議が成立したとしても、今度は有権者による国民投票が行われます。有効投票の過半数が賛成しなければ改憲は成立しません。国民投票法(憲法改正手続法)に基づいて実施され、投票率の問題なども含め、世論の動向が直接結果を左右します。

高市首相が4月に「来年の党大会までに発議のめどを立てたい」と述べたのは、この第一ハードルすら現時点でクリアできていないことを前提にしています。つまり、「発議できるよう数を整えたい」という段階であり、改憲の成立には改憲・国民投票とさらに複数のステップが残っています。

参政党や公明党、中道改革連合の動きが今後の焦点になるのは、まさにこの「3分の2」を達成するためのキャスティングボート(勝敗を左右する票)を持っているからです。与党や改憲推進勢力がどこと連携し、どんな内容の改憲案を提示するかで、国会内の賛否が大きく変わってくる可能性があります。

背景・経緯

日本国憲法は1947年5月3日に施行されて以来、一度も改正されたことがありません。これは先進民主主義国の中でも異例のことで、改憲論議は戦後一貫して続いてきました。

大きな転換点は2000年代以降に訪れます。衆参両院に「憲法調査会」が設置され、2007年には国民投票法が成立して改憲の手続きが整備されました。安倍晋三首相(当時)は2012年の政権復帰以降、改憲を政権の中心的課題に位置づけ、2017年の憲法記念日には「2020年の新憲法施行」を目指すと宣言するほどの意欲を示しました。2018年には自民党が「改憲4項目」を正式にまとめましたが、その後の政治情勢や参院選の結果、そして2022年の安倍元首相の死去などを経て、改憲の機運は一進一退を続けてきました。

2025年の現在、高市首相のもとで再び改憲機運が高まっている背景には、北朝鮮や中国、ロシアをめぐる安全保障環境の変化、防衛費の大幅増額など、「9条のあり方」を問い直す現実的な動きが重なっていることがあります。一方で、物価高や社会保障など国内課題への対応を優先すべきという声も強く、「なぜ今なのか」という点では国民の間でも意見が分かれている状況です。

読者への影響

憲法改正は「政治家だけの話」に見えますが、実現すれば国の根本ルールが変わるため、私たちの生活にも長期的な影響が及ぶ可能性があります。たとえば自衛隊の位置づけが変われば防衛政策の幅が広がり、税負担や国際的な役割分担にも影響しかねません。また、改憲には国民投票が必要なため、私たち一人ひとりが「賛成か反対か」を問われる機会が生まれます。日頃から各党の立場や9条の意味を理解しておくことが、将来の判断に直結します。

今後の展開予想

まとめ

2025年憲法記念日、高市首相は改憲推進集会に「決断のための議論を進める」とメッセージを送りましたが、具体的な時期や項目には触れませんでした。発議には衆参それぞれで3分の2の賛成が必要で、現状では数が大幅に足りていません。護憲派集会には約5万人が集まるなど、改憲をめぐる社会の関心は高まっています。今夏の参院選の結果が改憲論議の行方を左右する大きな分岐点になりますので、各党の立場と選挙結果の動向に注目してください。

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参照元:朝日新聞

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