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高市政権で浮上する非核三原則見直し論と原潜保有とは何か

高市政権で浮上する非核三原則見直し論と原潜保有とは何か
seiji.tokyo 編集部
読了 約10分(約3,739字)

「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」という日本の国是、非核三原則の見直し論が、高市政権のもとで静かに浮上しています。同時に、原子力潜水艦の保有という議論も表面化しており、年内に予定される安全保障関連3文書の改定に向けて、その行方が注目されています。この記事では、非核三原則の成り立ちや見直し論の背景、原潜保有議論の意味、そして私たちの安全保障環境にどう影響するかを、中立的な立場から丁寧に解説します。

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📰 引用元:朝日新聞

📌 この記事の要点

  • 非核三原則は1967年に佐藤首相が示し、国会決議を経て日本の「国是」となった方針です
  • 高市首相は以前から「持ち込ませず」の原則に現実的でないとの見解を示してきました
  • 安保3文書の年内改定に向け、核政策と原潜保有の両議論が同時進行しています

非核三原則とは何か、なぜ「国是」と呼ばれるのか

非核三原則とは、日本が核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」という三つの方針を指します。1967年、当時の佐藤栄作首相が国会答弁でこの方針を示したことが出発点で、その後、全会一致の国会決議を経て「国是(くにのあり方を示す基本方針)」として定着してきました。

注目すべきは、この原則が法律として成文化されているわけではない点です。あくまでも政府の政策方針と国会決議によって維持されており、政権の判断や国際情勢の変化によって見直しの余地が生まれやすい構造を持っています。

三つの柱のうち特に議論になりやすいのが「持ち込ませず」の部分です。この原則は、米国の核搭載艦船が日本の領海や港湾に立ち入ることを認めないという意味合いを持ちます。ただし、過去には日米間の「密約」として米艦船の核持ち込みが事実上黙認されていた疑惑が存在し、2009年に当時の民主党政権が調査して一定の密約の存在を認めています。

こうした歴史的な経緯があるため、「現実の安全保障と原則のあいだにギャップがある」という議論は、与野党を問わず長年にわたって繰り返されてきました。高市政権下での見直し論も、そうした長年の議論の延長線上にある動きと理解できます。

高市首相はなぜ「持ち込ませず」に疑問を呈してきたのか

高市早苗政治家は、2024年に刊行した編著書「国力研究」のなかで、2022年の国家安全保障戦略の策定過程において(注:高市が首相に就任したのは2025年10月21日であり、この著書執筆当時は首相ではありませんでした)「非核三原則を堅持」と明記することに反対していたと述べています。とりわけ「持ち込ませず」の原則については、「米国の拡大抑止(核の傘)の提供を期待するのであれば、現実的ではない」と主張しています。

「拡大抑止」とは、米国が同盟国を守るために核戦力を含む抑止力を提供する仕組みのことです。平たく言えば、「日本が核攻撃を受けた場合に米国が代わりに核で報復する」という約束が含まれます。高市氏の主張は、米国から核の傘を提供してもらいながら、その前提となる核搭載艦船の日本への立ち入りを一律に拒む姿勢は矛盾するのではないか、という問いかけと言えます。

また、米国の核政策も見直し論に影響を与えています。冷戦終結後の1991年にブッシュ(父)政権が地上発射型・海上発射型の戦術核を大幅削減して以降、米国の核態勢は変化を続けており、近年のロシアによるウクライナ侵攻や中国・北朝鮮の核戦力増強を受けて、日米同盟における抑止の議論が改めて重要視されるようになっています。

こうした国際環境の変化が、「原則を維持したまま現実に対応できるか」という問いを政界の内側から引き出す背景となっています。

原子力潜水艦の保有議論は何を意味するのか

非核三原則の見直し論と並んで浮上しているのが、原子力潜水艦(原潜)の保有をめぐる議論です。原潜とは、動力源に原子炉を使う潜水艦のことで、通常の潜水艦と異なり長期間潜航し続けられるため、戦略的な抑止力として高く評価されています。

日本がこれまで原潜を保有しなかった背景には、非核三原則に加え、憲法9条に基づく専守防衛(相手から攻撃を受けるまで武力を行使しないという方針)の観点から「攻撃的兵器」と見なされてきた経緯があります。また、原潜の建造・運用には膨大なコストと高度な技術が必要で、核燃料の管理という問題も伴います。

ここで重要なのは、原潜が必ずしも核兵器を搭載するわけではないという点です。通常兵器を搭載した原潜(攻撃型原潜)と、核ミサイルを搭載した原潜(弾道ミサイル原潜)は別物です。

ただし、原潜の保有が議論されるとき、その文脈には核抑止の在り方や専守防衛の解釈変更という問題が不可分に絡み合ってきます。

2023年発足のオーカス(AUKUS)という枠組みでは、米英がオーストラリアに原潜技術を提供することが決まっており、日本国内でも「同盟国が原潜を持つ時代に日本だけが持たないことが抑止力に影響するか」という論点が生まれています。年内の安保3文書改定に際し、この議論がどこまで具体化されるかが一つの焦点となっています。

NPT再検討会議と国内議論のずれをどう見るか

高市首相は、2025年4月27日に始まったNPT(核不拡散条約)再検討会議に対し、「核兵器のない世界に向けた志」などを訴えるメッセージを送っています。NPT再検討会議とは、核兵器の拡散を防ぐための国際条約であるNPTの実施状況を5年ごとに検討する国際会議です。

唯一の戦争被爆国として日本が核廃絶を訴えることは、国際社会において一定の道義的な発信力を持ちます。そのため、首相がこうしたメッセージを発信すること自体は従来の日本外交の延長にあると言えます。

一方で、国内では非核三原則の見直しや原潜保有という方向性の議論が同時に進んでいます。「核廃絶を訴えながら、核の持ち込みを許容する方向の検討を進める」という二重構造に対しては、「矛盾している」という批判も出うる状況です。

ただし、別の見方をすれば、「核廃絶の理想を掲げながらも、現実の安全保障に対応するための現実的な議論を同時に進める」というスタンスは、核廃絶を目指しながら核の傘に依存してきた日本のこれまでの安保政策とも連続したものと見ることができます。この「理想と現実のあいだ」をどう整理するかが、今後の政策議論の核心になるでしょう。

背景・経緯

非核三原則をめぐる議論の歴史は古く、1960年代の沖縄返還交渉の時期まで遡ります。1967年に佐藤栄作首相が国会で三原則を示した後、1971年には国会決議が行われましたが、その裏では米国の核搭載艦船の事実上の黙認が続いていたとされています。2009年、民主党政権下での調査により、日米間の核持ち込みに関する「密約」の存在が一定程度確認され、三原則の「実態」について改めて社会的な議論が起きました。

2022年、岸田政権下で安全保障関連3文書(国家安全保障戦略・防衛戦略・防衛力整備計画)が改定され、防衛費の大幅増額と「反撃能力(いわゆる敵基地攻撃能力)」の保有が決定されました。この改定は戦後安保政策の大転換と評価されており、今回の高市政権による再度の改定議論は、その流れを継承・発展させるものと位置づけられています。

さらに、ロシアのウクライナ侵攻(2022年)と北朝鮮の核・ミサイル開発の加速、中国の軍備増強という三つの要素が重なり、日本を取り巻く安全保障環境は急速に変化しています。この「なぜ今か」という問いに対する答えは、こうした国際情勢の変化と、政権交代による政策の優先順位の変化の両面にあると言えます。

読者への影響

非核三原則の見直しや原潜保有は、直ちに私たちの日常生活を変えるものではありませんが、日本の安全保障の根幹に関わる問題です。防衛費の増額は税金の使われ方に直接影響しており、防衛費増額の財源として増税の議論も続いています。また、非核原則の変更は日本が国際社会においてどのような国として認識されるかに関わり、外交・貿易・観光など幅広い分野に長期的な影響をもたらす可能性があります。「知らないうちに決まっていた」とならないよう、議論の経緯を追い続けることが大切です。

今後の展開予想

いずれのシナリオでも、年内の安保3文書改定がひとつの節目となります。国会での議論や与党内の意見集約の過程を注視することが、今後の動向を理解するうえで重要です。

まとめ

高市政権のもとで、非核三原則の見直し論と原子力潜水艦の保有議論が同時に浮上しています。どちらも年内の安保3文書改定に向けた議論の一部であり、戦後日本の安全保障政策の根幹に関わる問題です。今後は政府の公式見解や与党内の議論、そして国会での審議の行方に注目してください。自分たちの税金や国の方向性に直結するテーマだけに、報道を継続して追うことをおすすめします。

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参照元:朝日新聞

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