簗農水相、「予算カット」発言で衆院予算委に初答弁 減額要求を否定
農林水産相の簗和生(やな・かずお)氏は13日、自身の「予算カット」発言が報じられてから初めて、衆議院予算委員会で答弁に立ちました。簗氏は「私の不徳を恥じ、おわびする」と陳謝し、国土交通省に予算の減額を求めた事実はないと改めて否定しました。質問したのは同じ自民党の田村憲久氏で、厳しい口調で問いただしたと報じられています。この記事では、予算委員会でのやりとり、田村氏と簗氏がそれぞれ述べた内容、発端となった自民党大田原支部の会合での発言の中身を整理します。あわせて、国の予算が決まるしくみや、道路予算と大臣の担当範囲の関係もできるだけ平易に説明します。そのうえで、今後の国会審議で扱われる論点も確認していきます。
📌 この記事の要点
- 簗和生農水相は13日、「予算カット」発言の報道後初めて衆院予算委員会で答弁し、謝罪しました。
- 簗氏は国土交通省への予算減額要求を否定し、影響を及ぼしたかのような発言を撤回すると述べました。
- 発端は5月下旬の自民党大田原支部の非公開会合で、那須烏山市と那珂川町の道路予算に触れた発言です。
目次
13日の衆院予算委員会で何があったのか
朝日新聞の報道によると、農林水産相の簗和生氏は13日、衆議院予算委員会で、自身の「予算カット」発言が報じられてから初めて答弁に立ちました。簗氏は答弁の中で「私の不徳を恥じ、多くの皆様に心からおわび申しあげる」と述べ、2秒ほど深々と頭を下げたと伝えられています。そのうえで、国土交通省に対して予算の減額を求めたことは改めて否定しました。一方で朝日新聞は、簗氏がこの日、別の疑惑についても追及を受け、「防戦一方」になったと報じています。
衆議院予算委員会は、国の予算案や、予算の使い方を含む国政全般について質疑を行う委員会です。委員会とは、国会の中で分野ごとに置かれる、本会議より少ない人数で審議する場のことを指します。予算委員会は、首相や閣僚が出席して幅広いテーマについて質問を受ける場として知られ、閣僚が自らの発言や行動について公の場で説明を求められる機会にもなります。
今回、簗氏が謝罪と説明を行ったのも、この場でした。
今回の質疑で特徴的なのは、質問した側が与党の自民党議員だったことです。国会の質疑では、野党議員が閣僚を追及する場面が多く報じられますが、今回は簗氏と同じ自民党に所属する田村憲久氏が質問に立ち、厳しい口調で問いただしました。元記事の見出しも「自民からも厳しい声」としており、与党内からも説明が求められている状況が伝えられています。
簗氏の答弁は、大きく分けて二つの内容からなっています。一つは、発言そのものについての謝罪です。もう一つは、予算を減らすよう実際に求めた事実はないという否定でした。簗氏は、自分が予算に影響を及ぼしたかのように受け取られる発言を撤回すると述べています。会合で発言したこと自体は前提にしつつ、その中身にあたる予算への働きかけはなかった、という説明の組み立てになっています。
この二つは、似ているようで扱う問題が異なります。
一つは、閣僚の立場にある政治家の発言として適切だったかどうかという問題です。もう一つは、実際に特定の自治体への予算配分に影響が出たのかどうかという問題になります。今後の国会審議では、この両方が論点として扱われることになります。
各立場の主張:田村憲久氏と簗和生氏
13日の衆議院予算委員会で示された主張として、元記事で確認できるのは、質問者である自民党の田村憲久氏と、答弁した簗和生農水相の二人のものです。ここでは、それぞれが述べた言葉を、発言の場とともに整理します。
まず、質問に立った田村憲久氏の主張です。田村氏は予算委員会の場で、厳しい口調で「重要だと思えば、政治家はしっかりと予算を付けるために努力する。しかし、『選挙で応援しなかったから予算を削減する』と政治家が言うことは信じられない」と問いただしました。この発言は二つの部分に分かれています。前半では、政治家が地域にとって重要だと考える事業について予算の確保に努めること自体を、政治家の仕事として位置づけています。後半では、選挙での支持の有無を予算の増減と結びつけて語ることを問題にしています。
田村氏が問題にしたのは、予算獲得の活動そのものではなく、選挙で応援しなかったことを理由に予算を削減すると政治家が口にした点だと読み取れます。
次に、答弁に立った簗和生農水相の主張です。簗氏は同じ予算委員会で、まず「私の不徳を恥じ、多くの皆様に心からおわび申しあげる」と謝罪しました。続けて田村氏の質問に対し、「予算の減額を求めた事実は一切ない。私が影響を及ぼしたかのような発言を撤回して、関係者におわびを申しあげたい」と語っています。この答弁にも二つの要素があります。一つは、国土交通省などに予算の減額を求めた事実を「一切ない」と否定した点です。もう一つは、5月下旬の会合での発言のうち、自分が予算に影響を及ぼしたかのように聞こえる部分を撤回し、関係者に謝罪するとした点でした。
両者の発言を並べると、田村氏は「政治家がそう言うこと」を問題にし、簗氏は発言を撤回して謝罪する一方、減額を求めた行為は否定しています。発言の問題と行為の有無について、簗氏は前者を認めて撤回し、後者を否定するという形で答えています。
なお、朝日新聞は、簗氏がこの日に別の疑惑についても追及を受けたと報じています。発言の対象となった那須烏山市や那珂川町、予算を所管する国土交通省の見解は、元記事では伝えられていません。
制度のしくみ:国の予算はどう決まり、誰が担当するのか
今回の発言をめぐる議論を理解するには、国の予算がどのように決まり、どの大臣がどの予算を担当しているのかを知っておくと役に立ちます。ここでは、一般的なしくみを説明します。
国の予算は「年度」単位で組まれます。年度は4月1日に始まり、翌年3月31日に終わります。元記事にある「令和8年度」は、2026年4月から2027年3月までの1年間を指します。基準日の2026年10月時点では、令和8年度はその年度の途中にあたります。
予算ができるまでの流れは、おおまかに次のとおりです。まず、各省庁が翌年度に必要な予算を見積もって財務省に要求します。これを概算要求と呼びます。財務省はその内容を査定(中身を調べて金額を絞り込む作業)し、政府としての予算案をまとめ、閣議決定します。その後、予算案は国会に提出され、衆議院と参議院での審議と議決を経て成立します。
予算は衆議院が先に審議することが憲法で定められており、衆議院予算委員会はその中心となる場です。
次に、大臣の担当範囲です。国の行政は省ごとに分担されていて、それぞれの省の予算は、その省を率いる大臣の下で要求・執行されます。道路の整備に関わる国の予算は主に国土交通省が担当しています。農林水産相が率いるのは農林水産省で、道路予算を所管する立場にはありません。今回、簗氏が「国土交通省への減額要求」を否定したのは、道路予算を扱う国土交通省に対して減らすよう働きかけたことはない、という意味の説明です。
市町村の道路については、道路を管理するのは原則として市町村自身ですが、整備や補修には国からの交付金などの支援が使われることがあります。そのため、市町村の道路事業の財源の一部が、国土交通省の予算と結びつくことがあります。
このしくみを踏まえると、田村氏が問題にした「選挙で応援しなかったから予算を削減する」という発言は、予算が政治家個人の判断で特定の自治体に有利にも不利にも動かせるかのように聞こえる内容でした。一方で簗氏は、実際には減額を求めておらず、影響を及ぼしたかのような発言を撤回すると説明しています。予算の配分が実際にどう決まったのかは、所管する省庁の手続きに関わる問題として、今後の国会審議で扱われることになります。
これまでの経緯:衆院選から予算委での答弁まで
元記事で確認できる出来事を、時間の順に整理します。
最初の出来事は、2月に行われた衆議院選挙です。簗氏は、のちの会合での発言の中で、この衆院選で自身を支持しなかった自治体を挙げています。
次の出来事は、5月下旬です。この時期に、自民党大田原支部の会合が非公開で開かれました。政党の支部は、地域ごとに置かれる党の組織で、党員や支援者が集まって活動方針を話し合ったり、議員が国政の報告をしたりする場になります。この会合は非公開で開かれていたため、外部の人や報道陣がその場で発言を聞くことはできない形でした。
この会合で簗氏は、2月の衆院選で自身を支持しなかった自治体として那須烏山市と那珂川町を挙げ、「那須烏山市と那珂川町の令和8年度の道路予算は、大幅にカットをした」などと発言しました。大田原市、那須烏山市、那珂川町は、いずれも栃木県内の市町です。
発言の中の「令和8年度」は、前のセクションで説明したとおり、2026年4月から2027年3月までの年度を指します。
その後、この発言が報じられ、「予算カット」発言として問題になりました。元記事は、簗氏の発言が報じられたことを受けて、国会での説明が焦点になっていた経緯を伝えています。
そして13日、簗氏は衆議院予算委員会で、発言が報じられてから初めて答弁に立ちました。自民党の田村憲久氏の質問に対し、謝罪したうえで、国土交通省への減額要求を改めて否定し、影響を及ぼしたかのような発言を撤回すると述べています。朝日新聞によると、簗氏はこの日、別の疑惑の追及も受けました。
この時系列を見ると、問題の発言そのものは非公開の党の会合という、国会や役所とは異なる場で行われていたことが分かります。一方、13日の謝罪と説明は、国会の予算委員会という公式の場で、会議録にも残る形で行われました。
党内の会合での発言が、閣僚としての国会答弁で説明を求められる対象になった、という流れになっています。
今後は、この経緯の中で、発言の時点で予算の配分に何らかの動きがあったのかどうかが、国会審議の論点になります。
背景・経緯
今回の問題を理解するための背景として、元記事で確認できる経緯と、関係する制度の流れを時間の順に整理します。まず、2月に衆議院選挙が行われました。簗氏は、この選挙で自身を支持しなかった自治体として、栃木県の那須烏山市と那珂川町を後に名指ししています。次に5月下旬、自民党大田原支部の会合が非公開で開かれ、簗氏はその場で「那須烏山市と那珂川町の令和8年度の道路予算は、大幅にカットをした」などと発言しました。発言に出てくる令和8年度は、2026年4月1日から2027年3月31日までの1年間です。国の予算は、前の年度のうちに各省庁の要求、財務省の査定、政府案の閣議決定、国会での審議と議決という手続きを経て決まり、4月から執行されます。道路に関わる国の予算は主に国土交通省が担当しており、農林水産相が所管する分野ではありません。
その後、簗氏の会合での発言が報じられて問題となり、13日の衆議院予算委員会で、簗氏は報道後初めて答弁に立ちました。答弁では、謝罪とともに、国土交通省への減額要求を否定し、影響を及ぼしたかのような発言を撤回すると述べています。質問したのは与党・自民党の田村憲久氏で、朝日新聞は「自民からも厳しい声」が出たと伝えました。このように、党の非公開会合での発言が、閣僚としての国会での説明責任につながったというのが、現在までの流れです。
読者への影響
今回の問題は、私たちが納める税金がどのような基準で地域に配分されるのか、という点に関わります。国の予算は、各省庁の要求と財務省の査定、国会の審議を経て決まり、道路の整備や補修にも使われます。市町村の道路は住民の通勤や通学、物流、救急搬送などに使われる身近な基盤です。田村憲久氏は予算委員会で、選挙で応援しなかったことを理由に予算を削減すると政治家が言うことを問題にしました。簗氏は減額要求を否定しています。予算が特定の政治家の発言どおりに動いたのかどうかは、地域の住民にとって、自分の住む自治体の道路事業がどのような手続きで決まっているのかを知る手がかりになります。国会での質疑は会議録として公開され、誰でも読むことができます。
今後の論点
今後の論点としては、まず、衆議院予算委員会などでの質疑が続くかどうかがあります。13日の答弁で簗氏は国土交通省への減額要求を否定しましたが、那須烏山市と那珂川町の令和8年度、つまり2026年度の道路予算が実際にどのように配分されたのかは、所管する国土交通省の手続きに関わる事柄です。今後、国会審議の中で、配分の経緯について国土交通省の説明が求められるかどうかが論点になります。次に、朝日新聞が報じた「別の疑惑」の追及です。13日の予算委員会では、予算カット発言とは別の疑惑についても質問が出ており、この点も引き続き国会で扱われる可能性があります。さらに、質問に立ったのが与党・自民党の田村憲久氏だったことから、自民党として今回の問題にどう対応するのかも、今後の注目点になります。閣僚の発言をめぐっては、国会での説明のほか、所属政党や政府の対応が問われることもあります。
発言の対象となった那須烏山市と那珂川町の側が、今後どのような受け止めを示すのかも、確認していく必要がある点です。いずれも、国会の委員会審議や関係者の会見など、公開の場での説明を通じて確かめられることになります。
編集部の見解
編集部としては、まず確認できたことを整理します。農林水産相の簗和生氏が13日、「予算カット」発言の報道後初めて衆議院予算委員会で答弁に立ち、「私の不徳を恥じ、多くの皆様に心からおわび申しあげる」と謝罪したこと、自民党の田村憲久氏の質問に対して「予算の減額を求めた事実は一切ない」と述べ、影響を及ぼしたかのような発言を撤回すると説明したことは、朝日新聞の報道で確認できます。発端が5月下旬の自民党大田原支部の非公開会合で、2月の衆院選で自身を支持しなかった自治体として那須烏山市と那珂川町を挙げ、令和8年度の道路予算を「大幅にカットをした」などと発言したことも、同じ報道で確認できました。
次に、まだ分からないこととして、両市町の令和8年度の道路予算が実際にどう配分されたのか、国土交通省や両市町の見解、13日に追及された別の疑惑の具体的な中身、自民党としての今後の対応は、現時点の資料では確認できていません。最後に、今後の確認点として、衆議院予算委員会などでの質疑の続き、国土交通省による配分経緯の説明の有無、両市町や自民党の公式な受け止めを、会議録や会見などの公開された記録に沿って確かめていきます。
本稿の論点整理
簗和生農林水産相は13日、自身の「予算カット」発言が報じられてから初めて衆議院予算委員会で答弁し、謝罪しました。発端は5月下旬の自民党大田原支部の非公開会合で、2月の衆院選で自身を支持しなかった那須烏山市と那珂川町について、令和8年度、すなわち2026年度の道路予算を「大幅にカットをした」などと述べた発言です。予算委で自民党の田村憲久氏が厳しく問いただしたのに対し、簗氏は国土交通省への減額要求を否定し、影響を及ぼしたかのような発言を撤回すると述べました。今後は、予算配分の経緯に関する国土交通省の説明や、別の疑惑をめぐる国会での質疑が論点になります。
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参照元:朝日新聞
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